研究室紹介
教授挨拶
【成人急性期看護学領域とは-多様性と専門性】
成人期とは、おおむね15歳~64歳までを指し、平均寿命を考えると人のライフサイクルの中でもっとも長く、精神・身体的に安定した人生の中心となる時期になります。成人急性期看護学とはまさに、人として最も社会的活動の盛んな毎日にいる「大人」の方が経験される、突然の事故や発病、持病の急速な悪化、手術などをはじめとする急激な健康破綻に対し支援する学問領域であります。あらゆる面での責任が増し、日々のさまざまな葛藤の中に生きながら疾病に罹患した人への看護を学ぶ重要な領域ですので、看護学の根幹である人間の理解、環境の調整、健康意識・行動へのアプローチそして看護技術を幅広く実践していかなければなりません。そのために、成人期にいるさまざまな人の生き方、価値観、習慣や生活様式などの個別性に目を向け、看護する側が広い視野で捉えることができる多様性が必要といわれています。
一方で、疾病構造の変化、保健医療政策の変革などにより、看護職の専門性が重要視される時代になりました。平成26年に看護職の業務にかかわる法律(保健師助産師看護師法)が昭和23年に制定されて以来、実に66年ぶりに初めて改正されました。このことからも確実な看護実践能力、医学的知識・技術、チーム医療におけるキーパーソンの育成として成人急性期看護学領域のニーズが拡大しており、社会の期待に応えるべく専門性を十分発揮できるような教育・研究の充実が必要であると考えております。
【学生教育】
このような方針のもと、奈良県立医科大学医学部看護学科成人急性期看護学領域では、学部教育においては、最新の知見を取り入れて他大学ではまだ導入されていないモデルを使った演習など卒業後の将来を見据えた授業や、実習においては奈良県立医科大学附属病院で教員と臨床指導者が一丸となって、すべての学生が持っている学生自身の伸びる力を全面的にサポートするよう努めています。
大学院教育においては、院生が臨床あるいは実習で経験した疑問や課題を、教授とのディスカッションで深めていけるような授業内容とスケジュールにしており、自らが学び成長できる2年間としています。
【研究活動】
専門分野は、褥瘡、医療関連機器圧迫創傷、創傷管理(急性・慢性)、ストーマ・失禁管理における臨床スキンケアおよび排泄管理です。人が誕生して亡くなるまでの療養生活において、なくてはならない不可欠な看護です。そのため、研究範囲は広くテーマが尽きません。領域教員と大学院生とともにさまざまな課題に取り組み、その結果を看護実践の場に還元しています。
研究員紹介
教授 | 石澤 美保子 |
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准教授 | 松田 常美 |
助教 | 堀井 えりな |
講師 | 森脇 裕美 |
研究内容紹介
研究室で取り組んでいる研究
【クリティカルケア領域における皮膚障害の予防および発生後ケアのためのプログラム開発】
【在宅看護における医療関連機器圧迫創傷の予防および管理方法の構築】
クリティカルな状況にある患者は、疾患や栄養・代謝障害、またその日常生活自立度などから皮膚障害を起こしやすく、ケアの重要性も広く認識されているが、生命維持優先という絶対的な条件が強調されるあまり、本来予防できた皮膚障害も発生させているといわれています。私たちは医療機器に関連する圧迫創傷(Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)に着目し、附属病院ICUでの臨床データをもとに、医療関連機器圧迫損傷の予防および発生後ケアのためのプログラム開発に取り組んできました。
現在は、病院の在院日数短縮が年ごとに進み高度医療型在宅医療が増加する中、在宅における医療関連機器圧迫創傷を最重要課題とし、在宅におけるデータを収集し発生要因の検証を行っています。
○褥瘡、医療関連機器圧迫創傷、創傷管理(急性・慢性)、ストーマ・失禁管理
○急性期看護に関する研究
○救急領域における終末期ケアに関する研究
【トピックス】
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第28回日本褥瘡学会学術集会の会長に石澤教授が選出されました。
開催日は、2026年9月5日(金)・6日(土)です。
奈良で開催いたします!!みなさま楽しみにお待ち下さい。
- 第20回日本褥瘡学会近畿地方会学術集会(2023.3.5:奈良県文化会館国際ホール)において、石澤美保子教授が会長を務め、3年ぶりの対面で開催することができました(当日Live配信あり)。参加登録総数(対面+Live)は、昨年の倍以上の369名で、うち当日会場にお越しいただいたのは205名でした。特別講演、ランチョンセミナー、教育講演があり、一般演題では会場からの質問も多く、とても活気のある学術集会になりました。
研究室の様子
成人急性期看護学領域で学ぶことは、学内での座学や演習のほか、患者さんと1対1で向き合う本学附属病院での臨地実習にあります。またそれらの経験を通してうまれる疑問を看護研究につなげることにあります。
その道のりは、決して楽なものではありませんが、仲間とともに乗り越えた時間は、新しい自分や看護への思いへとつながります。
成人急性期看護学領域では、皆さんの成長を教員が全力でサポートします。